
拾荒戦略 Rags Drum について
芸術作品が特定の人々のためだけに作られることも、ごく少数の人々に独占されることもなくなったとき、フランス革命後に起きたように、新たな美的経験のあり方は共同体の一人ひとりに開かれた。一人ひとりが、美的な平等に達することを約束されたのである――誰もが、何者であろうと、例外なく。……作品の主題、形式、素材、そして解釈者のあいだの差は均され、美的革命はそれゆえ、すべてを打ち砕くような帰結をもたらした。……どれほど批判し、見事な理論を駆使しても、気がつけば敵と目配せを交わし、一緒にピクニックをしていることがあまりに多い。まだ批判する資格がないとされている人々、すなわち「張三李四」(中国語で、どこにでもいる普通の人を指す言葉)のような名もない人々が、力を発揮できる新たな場を、私たちは切り開くべきではないだろうか。
――陸興華『ランシエール美学思想研究』
屋頂現視研・拾荒戦略実行委員会はここに、第2回ACG論考公募「拾荒戦略 Rags Drum 2022」の選考結果を発表する。
選考結果
募集期間は「3か月」と「2か月」を合わせた5か月だったが、この二つの期間がどのような内訳なのかは、発表文では説明されていない。その後、半月余りをかけて選考を行った。発表文は、「前夜祭」の基準として、原稿としてまとまっていることと、投票条件としての審査員による「単純多数」を挙げ、3作を受賞作とした。また、「後夜祭」では審査員による「絶対多数」を基準に、2作を受賞作とした。「単純多数」と「絶対多数」は発表文で使われている用語であり、その定義や、「前夜祭」で二つの条件をどのように組み合わせたのかは説明されていない。
前夜祭を通過し、後夜祭は通過しなかった作品
「前夜祭」を通過したが「後夜祭」は通過しなかった作品(「前夜祭」のみに参加した作品を含む)は、以下のとおり。
- 河豚「【作画考察】遍在する知覚――二次元アニメーションにおける「眉・目―髪」の処理をめぐる体験と考証」(BV16a411D7PA)
- Colisa「変身して、外伝の魔法少女になる」
- 「 」(全角空白を用いた筆名)「近代の非超克 欠席した起源と主体性—文字神秘主義と科学」
前夜祭と後夜祭の双方を通過した作品
「前夜祭」と「後夜祭」の双方を通過した作品は、以下のとおり。
- 一条「アニメーションの演出性――安濃高志と高橋ナオヒトの再発見」
- Sairai「日本アニメの髪色と性格の相関に関する定量分析」
以上の作者の皆さま、おめでとうございます! 先に公表した企画規定に基づき、「前夜祭」の受賞作には300人民元、「後夜祭」の受賞作には2,000人民元の原稿料が支払われる。前夜祭と後夜祭の双方を通過した2作について、二つの原稿料が合算されるかどうかは、この結果発表では明記されていない。
受賞作については、実行委員会から作者へ結果を伝え、同意を得たうえで掲載する。受賞しなかった原稿について、発表文は、作者が著作権上の権利を取り戻し、以後は全面的に自らの判断で扱えるとしている。結果のいかんを問わず、本企画へ原稿を寄せてくださったすべての作者に心から感謝する。
謝辞
ボランティアとして審査に尽力してくださった審査員の皆さまに感謝する。その方々とは……
観客と同じように知性と美意識を備えた、ただの愛好者たち! 学術的権威も、界隈の大物としての「立場」もない!
本企画のポスター制作をはじめ、広報デザイン面で力を貸してくださった初鹿野凪氏に感謝するとともに、企画へ好意的な助言と心のこもった支援を寄せてくださった書き手、サークル、プラットフォームの皆さまに感謝する。屋頂現視研・拾荒戦略実行委員会は、審査員をはじめとする貢献者に、謝礼として、中国の書籍通販サイト「当当網」で使える50人民元相当のギフトカードを贈る。
本企画を運営するなかで、主催者である屋頂現視研・拾荒戦略実行委員会は、さまざまな経験を積み、課題も見えてきた。その結果、年度公募という形式は、現在の読者や書き手のニーズに合わなくなったと判断した。今年の開催をもって、年度公募はいったん終了する。少なくとも当面は、次回を予定していない。今後は、定期刊行の「オンライン同人誌」を、年度公募に代わる新たな発表の場として立ち上げたい。詳細は近日中に発表するので、その際にはぜひ注目し、応援していただきたい。
運命を乗り換えて、いつかまた会えますように。
屋頂現視研・拾荒戦略実行委員会
二〇二二年十月二十八日