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訳者のお茶会:数十万字のフェミニズム文献をボランティアで訳したのは、どんな人たち?

网哲邻人部のフェミニズム翻訳グループが、ボランティア翻訳、ネットコミュニティ、文化批評、インディーゲーム企画について参加者の名を伏せて語り合ったお茶会。

著者: 网哲邻人部翻訳: 甚谁Bot[AI assisted] · 全文レビュー: 甚谁Bot[AI assisted] · 全文

メーデーの連休に、网哲邻人部のフェミニズム翻訳グループでお茶会を開いた。翻訳・校正の主力メンバーの大半が話に加わった。この記事では、そこで交わされた意見を抜粋して紹介する(一種のノンフィクション創作として。大嘘)。そして、私たちが温めている、大風呂敷だけどわくわくする企画に、腕に覚えがあって、興味を持ってくれる作り手を誘いたい――

A:お茶会と呼んでいるのは、今やっていることを、聖人の苦行みたいなつらい務めにはしたくないから。何をするにも苦労はあるけど、翻訳も、それ以外のものを作る仕事も、成果を査定されるためじゃなく、好きでやるものだと考えている。だから、お茶会というのんびりしたイメージと結びつくんだ。

B:そこには、メンバーの一部が二次元の同人活動に興味を持っていて、企画も考えていることが関係しているね。うちは新聞の編集部みたいなものだというより、同人誌サークルといったほうが近いかもしれない。戦後日本の小説や漫画の同好会が、同人誌を編集して出していたみたいに。

C:その网哲邻人部って、いったい何の謎組織なの? ちょっと紹介してもらえる?

A:哲学・社会科学・人文思想界の心の怪盗団。さあ、学術体制の罪を数えろ……

『ペルソナ5』の怪盗団のキャラクターたちを描いた集合イラスト

B:待った待った。簡単に言えば、网哲邻人部は、生まれては消える114514個の読書会や迫真哲学サークルと同じ、哲学や思想が好きな人たちのネットコミュニティ。ただ、私たちは、もっと意味のあるものを作っていこうと決めた。スタンフォード哲学百科事典(SEP)の項目から、哲学の諸潮流の入門書、そしてフェミニズム文献まで。そうやって実際に手を動かすなかで、ある程度の信用を得てきたんだ。

D:あくまで趣味で集まったネット上のサークルで、政府や学校や企業の後ろ盾があるわけじゃない。もちろん、50万元の資金だってない。

A:それに、誰か一人のキャラを前面に出したり、インフルエンサーを仕立てたりしないように気をつけている。「洛陽の親友もし相問わば、一片の氷心、玉壺に在り」。私たちの仕事の成果を見れば、高潔でまっすぐな人たちは公正に評価してくれるはず。

B:作ったキャラの化けの皮が剝がれる例なんて、いくらでもあるでしょ。共同作業をするのに、道徳的な立派さを売りにしたキャラを作り上げようとするのは――誰の道徳? どんな道徳?――必要ないし、危険でもある。実際、お互いに清廉潔白な人間だと保証できるほど、よく知っているわけでもないし。

C:この世で、自分は清廉潔白でいられるなんて言い出す人がいたら、そのほうが本当に恐ろしいよ。

A:誰も清廉潔白ではいられないからこそ、誰もが常に、いわばサルトルのいう意味で、無限の倫理的責任を背負う主体なんだ。つまり、魯迅の言う、遠くの無数の人びとも自分と無関係ではない、ということ。とりわけ知識人を自任するような人間が、【世界】に対する自分の責任を無視していられるだろうか? 泥沼のなかを進んでいく。それは運命として与えられた祝福なんだ。

B:士は弘毅ならざるべからず、任重くして道遠し、だね。

C:翻訳の話に戻ろう。今回の翻訳は、最初はひるんでしまうような仕事だったよね。レンガみたいに分厚い選集で、百数十ページの解説を訳し終えても、それで終わりじゃない。収録されている文章も大半は中国語訳がなくて、訳さなきゃいけない。小さな翻訳ボランティアの集まりにできる範囲を超えていない?

B:道は孤ならず、徳には必ず隣あり。

A:漢文をひけらかすのはその辺にして。もちろん最初は、誰もがほとんど不可能な仕事だと思っていた。出版社が商業出版として進めて、お金を払って訳者を探したって、引き受ける勇気のある人が見つかるとは限らない。企画が通っても、完成まで何年かかるかわからないし。

A:でもね、アクシズの、あの可能性の光を感じるんだ……

D:何のアニメの話してるの?

A:人類の可能性を信じよう、ってこと。こんな逸話がある。1950年代、文学史の教材を編もうとしたとき、老教授たちは口々に、難しいとか、長い時間がかかるとか言っていた。でも大学生たちが、今でいうゲームジャムみたいに、短期間で共同制作するワークショップを開いて、知恵と力を出し合い、たった一、二か月で文学史の教材を作り上げた。大いに結構だと思うね。

宇宙から見た地球を背景に、緑の光が流れる映像の一場面

B:翻訳ボランティアや思想普及(識字運動?)のスタハノフ運動ってわけね。

A:翻訳に参加するための「条件」を見ても、専門家だけの仕事ではないことがわかる。哲学を専門に学んだ経歴も、英語の専門資格も求めていない。中国の大学生向け英語試験、大学英語六級(CET-6)相当の力があればいい。それより必要なのは、熱意と真剣さなんだ。

C:下訳の合格ラインは、訳文が自然な中国語になっていること。機械翻訳を使ったっていいけど、少なくとも、意味や文法におかしなところがなく、原文の内容をおおむね正確に伝える文章にまで手を入れてほしい。

A:生産のあり方としては、大衆的な翻訳運動なんだ。大いにやって、どんどん進める。多く、速く、よく、安く。やればやるほど自信もついてくる。今なら、この選集を最後まで訳し上げられると、自信を持って言える。遅くとも来年には完成するよ。

E:翻訳するものを選ぶときは、どんなことを考えているの?

C:質問ありがとう。「フェミニズム映画理論入門」は、フェミニズム、とりわけその文化批判が、精神分析(ラカン派)とどうつながるのか、きちんと説明している。「男性のまなざし」みたいに毎日のように議論になる概念にも、十分な説明がある。一方、「フェミニズム理論ガイド」は、西洋フェミニズム思想史全般を比較的新しい視点でまとめたもの。選集の収録文とも結びついていて、さらに研究を進めるための足がかりも十分にある。(今、中国語で読めるフェミニズム思想史の入門書には古いものが多い。たとえば、原著の1998年版に基づくトンの「フェミニズム思想入門」。しかも、この本の精神分析の部分は出来がひどい[トンの本は、第5版のいくつかの章も私たちで新たに訳して、訳文を更新した]。)

A:どれも、これまで中国で出版された本にはないものなんだ。独自の価値があって、たぶん私たちがやらなければ誰もやらない。だから訳す。人気のある著者の本を訳すのは、出版社の商業的な論理に任せよう。

D:最近は翻訳以外のオリジナル企画もあるって聞いたけど?

B:そういう計画はある。一つはインディーゲーム、もう一つは文化批評。後者は、実はbilibili(ビリビリ)にもかなりある。悪趣味でひどいドラマにツッコミを入れる人気動画のなかには、女性を客体化したり、女性に否定的な烙印を押したりする描写をあぶり出して批判する、価値のあるものが少なくない。ただ、掘り下げが足りないこともある。

A:恋愛ものでも中国のオリジナルBLでも、人気の小説や音声ドラマなんて、東アジアの文化を批評するにはネタの宝庫だよね。もちろん、知識をひけらかしたいだけで理屈を並べないようには気をつける。実際、bilibiliのツッコミ系動画はよくできている。その足りないところを埋めようとして、退屈なアカデミズムに走っちゃいけない。文化批評の動画は学術誌の論文じゃないんだから、面白くなくちゃ。

C:そのために、動画を作る人と原稿を書く人を募集したい。もちろん、参加するみんなが、話題を集める人気ドラマや、対象となる小説・音声ドラマを実際に観たり、読んだり、聴いたりすることが前提になる。それから、島宇宙のように閉じた界隈どうしの対立や罵り合いを引き起こしたいわけでもないので、あまりに揉めそうな対象は避けるつもり(どれのことだと思う?)。――はあ、あなたの自由を守れば、私の平和が壊れる。文化戦争だね。

D:このグループにはBL系の音声ドラマのプロデューサーをやっていた人もいるし、その辺は大丈夫だと思う。インディーゲームのほうは、ひょっとして東アジア版の『ディスコ エリジウム』を作るってこと?

A:ちょっと近いかな。でも、CRPGでは絶対にない。むしろ『Ib』みたいな、同人ゲーム規模のJRPG。ただ、『ディスコ エリジウム』みたいに、自分たち好みの哲学思想をちょっと仕込む。楽しみでやるんだしね。

『Ib』のロゴの下に、王冠をかぶった三人のキャラクターが椅子に座るイラスト

B:ゲームを作るといっても、最初から半年も一年もこもって開発だけをするわけじゃない。どちらかといえば、オリジナルキャラクターの同人企画を立てて、その表現媒体の一つとしてゲームがある、という感じ。

A:そう。メインで絵をお願いしたい人はもう見つけてある。まずは主人公の立ち絵や手描き動画なんかを出せると思う。同人音声もありだね。メディアミックス企画、やっていこう。

C:予算はどこから出るの!

D:お金持ちのお姉さまやお兄さまが直接支援してくれたら、もちろんありがたいよね。エンジェル投資だ。でも、そんな都合のいい夢は見ていられない。

A:今考えているのは、支援サイトの爱发电で経費をまかなう(立て替え分の精算というべき?)こと。このゲーム企画に賛同してくれた人が自由に支援できて、お返しにグッズなんかを用意する。もちろん、何らかの形で企画に参加してもらってもいい。

D:ゲームの中身をもう少し話してくれない? それだけ言われても誰もわからないでしょ。

A:主人公は女性二人(うっかり屋+不機嫌屋)。舞台は架空の1980年代の東京。作風はフィルム・ノワール風の刑事もの(物語を動かすきっかけと、生の手触りを感じさせる雰囲気を作る)。異能と夢(知恵や腕力を競って事件を解くのではなく、少しホラーやサスペンスの要素がある、芸術的に作り込まれた夢の迷宮へ潜る。そこには、育った家庭での問題、学校でのいじめ、職場の性差別、DVなど、交差する抑圧が生むさまざまな苦しみが映し出される)。思想理論(夢のなかに思想家がNPCとして登場したり、アイテムやスキルにちょっとネタを仕込んだり)。――もちろん、今の段階では、こういう草案は全部ひっくり返る可能性がある。

B:ゲーム作りってそんなに簡単なの? 予算が100万元を超えたりしない?

C:それはないよ……同人ゲームなら数万元あれば作れる。『Ib』や『魔女の家』みたいなホラー系JRPGに、いったいいくらかかったっていうの? うちには、経歴を言えば十分に実力の裏付けになる人もいるんだよ。ごほん、ただ、公には言えないだけで。

A:さて、ゲームの話に時間を使いすぎたね。とにかく、自信はある。ゲームのシナリオ、アート、システム設計や制作実務のプランニング、UIデザイン、プログラム開発の担当者を募集したい。いくらかでも報酬を出せるようにはしたいけど、約束はできない。

B:もっといろいろやるつもりはないのか、いわゆる「もっと実際的な実践活動」をする責任があるんじゃないか、って聞く人もいるだろうね。

A:理論や思想と現実の実践を二分するような愚かな議論には、わざわざ反論するまでもない。はっきりさせておくべきなのは、この活動での私たちの目標と仕事が、翻訳、批評、文芸作品の生産だということだけ。いらだって、出版社の人や書き手に、この場で料理をしろ、車を運転しろとまで言い張る人がいる。それに、そもそも趣味で集まったコミュニティなんて、本当に力のないものだよ。その無力さと限界を責めたい人がいるなら、こう答える。おっしゃるとおり、認めます。

二人の刑事を描いた『ディスコ エリジウム』の宣伝ポスター。上部に「WHAT KIND OF COP ARE YOU?」、下部にタイトルと「A DETECTIVE RPG」の文字
『ディスコ エリジウム』の英語の宣伝ポスター。上の文句は「どんな警官になる?」、下は「探偵RPG」の意。

E:ダブスタで屁理屈ばかりこねるやつが相手じゃね。ああなっちゃったら、もう、はいはいって言うしかない。

B:翻訳のほうも、近いうちに「人事刷新」をするんだっけ?

C:試訳で新しい訳者を募集して、グループチャットを新しくする。ROM専のメンバーには自然に降りてもらう。ずいぶん穏やかな整風だね。

A:試訳の時点で、ただ面白がって陰で足を引っ張る連中や、おいしいところだけ狙う見物人はだいたいふるい落とせている。それでも、入ってきたのに翻訳を引き受けず、何か月も一言も発さず、一つも訳さない人が結構いるんだよね。――何しに来たんだろう?

E:邪推すると、紛れ込んでおけば、留学用のCV(経歴書)に書けると思ったのかも。「翻訳プロジェクト主宰!」って。ははは。

A:仕事をしたなら、やった分だけ書くのはもちろん問題ない。それは当然の権利だよ。でたらめを書かれたら、もう言葉もない。結局、その人が誠実でまっすぐかどうかにかかっている。ネットでしか知らない相手に、それ以上どうしようがある?

D:これがIT・ゲーム業界でいうコミュニティ運営ってやつ? これで華人エリート様向け留学市場の基盤を押さえ、セレブ気取りと社交界の花気取りの合わせ技で、プチブルの内輪で回るシナジーが完成するわけだ。

A:サイバー世界の「集-立(ゲシュテル)」! ハイデガー哲学の大成だ。はいはい、フェミニズムを看板にした社交界の花、金融女子がWeb3で起業して、ブロックチェーンと分散化でエンパワーメント、ってわけね。一部の華人エリート様は、いい加減その辺にしとけよ。

B:まあ、団結―闘争―再団結。原則も闘争もなく、ただ仲よくするだけなんて反動的だよ。そこまで話したなら、私たち自身がどう組織を作り、物事を決めているのかも話しておこうか。

A:自由、平等、民主、活気。筋道を立てて話し、説得して、多数の同意を得る。一部の迫真哲学思想グループで、メニューでも読み上げるみたいに学歴を並べ立てる、あの風潮は心底嫌い。アイビーリーグの学部在籍だの、全額奨学金付きの博士課程だの、そんな肩書はもういいよ。学界という機械に、肩書だけの歯車をもう一つ足す必要なんてない。博士課程の学生が、自覚を持った専科(短期高等教育課程)の学生より上等ってことにはならない。

B:身分の低い者こそ最も賢く、高い者こそ最も愚かだ。つまり、私たちのあいだでは、どれだけ説得力があるかは、学歴や発表論文にどれほど箔がついているかで決まるわけじゃない。そういうものは重要じゃないんだ。ここは学術誌の編集部じゃないからね。

D:そのうえで、仕事のなかからリーダーが生まれること、とりわけ女性のリーダーが生まれることを、私たちは恐れない。インフルエンサーのキャラを作るという意味じゃなくて。

A:翻訳でもゲーム制作でも文化批評でも、先頭に立つ人がいらないなんてことはない。その人を編集長と呼んでも、主宰者でも、プロデューサーでも、主催者でも、何でもいい。先を行く者と諸衆(マルチチュード)との関係は、上下の序列をつけるエリート主義的なものじゃない。星座どうしの、爆発的で生産的な出会いなんだ。そこで解き放たれるのは、一人ひとりが等しく持っている変革の可能性なんだよ。

B:もちろん、私たちは女性が中心となり、活動を担うチームを目指しているし、実際にそうしている。

C:じゃあ、今回のお茶会もそろそろおしまいだね。主に、翻訳という生産活動、チームそのもの、文化批評の動画、インディーゲームの制作について話しました。


①翻訳に参加したい方は、下記の英文を中国語に試訳し、メールでお送りください。繰り返しますが、必要なのは大学英語六級相当の英語力で、英語から中国語へ訳せることです。思想・学術の知識や専攻は問いません。真剣さ、丁寧さ、そしてある程度の時間が必要です。翻訳への報酬はありません。

②文芸批評やゲーム制作に参加したい方は、必要だと思うこと(作品? スキル? 熱意? 興味?)を自己紹介のメールにまとめてお送りください。

①②ともに宛先は lab_on_roof@163.com です。

翻訳参加者向け試訳課題

You can see how neoliberalism easily leads to postfeminism: the conviction that men and women are already so equal that feminism is no longer necessary, that it might in fact be the enemy of female empowerment because it propagates defeatist messages about gender inequality that threaten to undermine women’s confidence in their ability to compete in the professional realm. You can also see how contemporary media culture participates in this mentality. As Susan Douglas points out in The Rise of Enlightened Sexism (2010), the continuous parade of tough action heroines and savvy female professionals in today’s movies and television shows generates fantasies of equality that cover over social realities of persistent inequality.

How many black female judges are there in the real world? If television shows are to be believed, being black and female is one of the prerequisites for becoming a judge. In this way, media fantasies obscure the fact that black women still find it disproportionately difficult to enter prestigious professions, and that women, generally speaking, still earn less than men do on average. In the next chapter, I’ll argue that many of us are able to retain a degree of critical distance from the media images we consume. Still, Douglas is right to suggest that media portrayals that communicate that women have made it—and that feminism is therefore obsolete—can mask “how much still remains to be done.”

本文終わり

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