屋頂現視研
← 中国語原文8 分で読了編集プレビュー

視差からの眺め|2018年の日本アニメを代表する四作を選ぶなら……

社会現象、ネットミーム、女性の作り手、海外の配信サービスという四つの切り口から作品を選び、2018年の日本アニメの新たな動きを振り返る。

著者: 塔塔君 Minkun翻訳: 甚谁Bot[AI assisted] · 全文レビュー: 甚谁Bot[AI assisted] · 全文

塔塔君 Minkunのアバター
塔塔君 Minkun

日本のアニメと映画を観ています。まだまだ世間知らずです。

2018年の日本アニメを代表する四作を選ぶなら。私は、それまでにはなかった新しい動きを基準に、四つのテーマから一作ずつ選ぶことにした。

  1. 社会現象
  2. meme
  3. 女性の作り手と女性の視点
  4. 海外資本のもとでのネット配信と「ルネサンス」

1. 社会現象

どの作品か、みなさんも見当がつくだろう。日本のウェブサイト「ガジェット通信」が開催した「アニメ流行語大賞」の結果を見ればわかる。

金賞:安室透(名探偵コナン ゼロの執行人)
銀賞:安室の女(名探偵コナン ゼロの執行人)
銅賞:さてはアンチだなオメー(ポプテピピック)

さらに、ニコニコの2018年「ネット流行語100」のランキングもある。

大賞:ポプテピピック
2位:バーチャルYouTuber
3位:FGO
4位:「止まるんじゃねぇぞ…」(ざまあ)
5位:電脳少女シロ
6位:安室透
7位:月ノ美兎
8位:仮面ライダービルド
9位:にじさんじ
10位:ペルソナ5

そう、2018年を代表するアニメ、その一作目は——

『名探偵コナン ゼロの執行人』

『名探偵コナン ゼロの執行人』のポスター

安室透という男は、今年、日本で社会現象を巻き起こした。2018年を代表する、みんなの「旦那」になった。スピンオフ漫画『ゼロの日常(ティータイム)』まで、本編をわずかにしのぐほどだ。安室透の印鑑をはじめ、さまざまな商品も登場した。まさにGDPを押し上げる男。『名探偵コナン』シリーズ全体を見ても、かつてない熱狂だ。

「降谷」の印鑑が人気になったと伝える微博投稿
「安室効果は印鑑業界にも?」と伝える米花快报の微博投稿。全国に約30人しかいない「降谷」姓の印鑑に注文が殺到し、最近では毎日、注文数が「鈴木」「佐藤」を上回るという。「赤井」「風見」「安室」を一式注文する人も。「仕事を終えて降谷の印鑑を押すと、彼に認めてもらえた気がする」という女性の声に、「私は安室透の彼女なんだから、結婚したら降谷姓になるんだし」という冗談が続く。

この印鑑ブームには公式も応えた。青山剛昌の描き下ろしが登場しただけでなく、公式の印鑑まで発売された。

青山剛昌描き下ろしの安室透の色紙と「安室検定」の告知を紹介する微博投稿
「青山先生の最新描き下ろし。先日話題になった安室の印鑑の件」と紹介する微博投稿(投稿内の画像出典:@Aterufa-Tomo)。掲載されているのは、描き下ろしの複製色紙を賞品にした「安室検定」の告知。安室は「降谷」の印鑑を差し出し、「合格だ!」と声をかけている。

一方、実際の興行収入は山Pとガッキーが出演する『劇場版コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―』にわずかに及ばず、邦画の年間首位を逃した。『コード・ブルー』が92.1億円、『ゼロの執行人』が91.3億円だ。昨年の邦画の年間首位は『名探偵コナン から紅の恋歌』だったが、これほどの社会現象にはなっていなかった。

個人的には、この出来事を『名探偵コナン』シリーズの一つの区切りと見てもよいと思う。四半世紀にわたる長寿シリーズが、ついに転換を果たしたのだ。とくに劇場版は、それまでの大がかりな見せ場を売りにする路線(豪華客船、飛行機、東京タワー、摩天楼、19世紀のロンドンなど)から、キャラクター消費を軸にする路線へと転じ、大成功を収めた。その兆しは劇場版第20作『純黒の悪夢』から見えていた。あの作品も大成功し、前作から興行収入を大きく伸ばしている。『純黒の悪夢』は63.3億円、その前の『業火の向日葵』は44.8億円、さらにその前の『異次元の狙撃手』は41.1億円。この数字を見れば伸び幅がわかるだろう。来年の劇場版『紺青の拳』も、怪盗キッドと劇場版初登場の京極真という、キャラクターにより重きを置いた作品になるはずだ。ストーリーの面でも、今回はラブコメ(というか、アホ丸出しのコメディ)寄りだ。

さらに、『ゼロの執行人』の海外上映によって、安室透はすでに100億の男になっている。主に中国本土での興行収入のおかげだ。今年は『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の映画シリーズも完結を迎えた。『コナン』がガンダムネタをやりたい放題なこともあって、こんなコラボまで実現した。

『ゼロの執行人』と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』のコラボポスター

日本アニメ年間最優秀マーケティング賞、これにあげてほしい。

安室透とアムロをそれぞれ演じる古谷徹も、当然ながら今年話題の声優となった。というわけで、ニコニコの2018年「ネット流行語100」の生放送では進行役まで務めている。えげつないな……初代ガンダムの主人公の声優が、『鉄血』のオルガのネタに賞を贈るなんて……。

2. meme(ネタ)

日本アニメも映画も、今年は本当にミームの年だったと思う。そこで二作目に選ぶのは——

『ポプテピピック』

『ポプテピピック』で、ピピ美がポプ子を取り調べる場面
画面の中国語字幕では、ピピ美がポプ子に、自分のしたことをわかっているのかと問い詰めている。

本当にミームしか残っていないクソアニメだ。NO MONOGATARI! JUST(ピー)——KING MEME!!

この作品については、第1話が放送されたとき、質問サイトの知乎に勢いで感想を書いた。あの回答はやはり直さないことにする。一つには面倒だから。もう一つには、第1話を見て書いたあの感想にも、その場でぱっと盛り上がって終わる性格があると思うからだ。そのまま置いて、歴史にしてしまおう。その回答から引いておく。

以上をまとめると、さっき話したその時々の話題も、今答えた二つの問いも、すべてメタに関わっている。これは最初から最後まで徹底してメタなアニメで、どの形式もメタのためにある。ただ、見終わったあと、どうにも不完全燃焼だったのは否めない。制作陣がここまで大胆に形式で遊ぶことには感心するし、すごいとも思う。でもその一方で、こんなクソみたいな形式、誰が見て満足できるんだよ! 見るのをやめろってことか!!

別の回答にも書いたが、この作品には一回きりのイベントのような性格がある。公式まで第2期は作らないと言い切っているクソアニメなのだ。そして、ネットに支えられた作品でもある。作中のネタがネットと切り離せないだけではない。視聴者も、だいたい一話見終わるたびにネットへ行き、ほかの視聴者や、時には作者本人ともやり取りする。こうした双方向のやり取りまで含めて楽しむのが、この作品をまるごと味わうための正しい見方なのかもしれない。

実際、こうしてネットに支えられたアニメは、これが初めてではない。昨年の『けものフレンズ』も、ネット上に大きな交流の波を生んだ。同人出身のたつき監督もまた、人民の中から生まれ、人民の中へと帰っていく。ネット上の大勢の人々と、じかに深い交流を重ねていた。さらにさかのぼれば、流行にきわめて敏感な『らき☆すた』もある。ニコニコで配信された初期の作品の一つであり、そのブームもやはりネット文化とは切り離せない。

映画なら、間違いなく『レディ・プレイヤー1』と『シュガー・ラッシュ:オンライン』だ。

『レディ・プレイヤー1』はサブカルチャーのお祭り騒ぎと言われるが、実際のところ、その核にあるものはきわめてメインストリーム的だ。人は社会に生きている以上、結局は現実の交流へ戻らなければならない。それでも、ちゃっかり者のスピルバーグは大勢のサブカル好きたちをまんまとだました。ど真ん中のハリウッド映画の枠組みに乗せて、すべての観客を一緒に踊らせ、一緒にハッピーにしてしまったのだ。アニメ・マンガ・ゲームや映画のファンにとって、一般の観客が知らないネタは、この映画を見る満足感につながる。部屋にこもって一人で、あるいはネットの仲間と楽しんでいたサブカルチャーが、メインストリームの晴れ舞台に引っ張り出される。ある場面で周囲の観客よりも多くをわかっていて、自分だけが笑ったことに、あなたは興奮する。見終わると、自分にも居場所があると感じる。あなたが選んだ趣味は間違っていない。最高にクールだし、もう大人たちの顔色をうかがわなくてもいいのだ。

『レディ・プレイヤー1』の日本版ポスター

『シュガー・ラッシュ:オンライン』のネタは、もっとずっと大衆的で、インターネットにもより密着している。ただ、主に欧米のネットのネタなので、中国の観客にはピンとこないものも多かった。また、ネットを使った宣伝という点でも、この映画は大成功した例だ。隠しネタを楽しむ文化がここまで広まった今、この作品もそのネタによってネット上で盛んに拡散された。二つ目のおまけ映像も、今、欧米のSNSで大流行している、曲「NEVER GONNA GIVE YOU UP」を使ったネタに由来する。こうした旬のあるネットミームをおまけ映像に使うことで、作品には2018年という年の刻印が押された。もちろん、物語には批判されてしかるべきところがある。それでも私にとって面白いのは、アーケードゲームが消えつつある今、その古いキャラクターたちが、劇中のインターネットを舞台に、ミームとしての新たな役割を手に入れたことだ。ミームの拡散には張本人がいない。いや、誰もが「共犯」になりうる、と言うべきか。だからこそ、現実の誰かではない架空のキャラクターたちは、実はミームと通じ合っている。それがいちばんわかりやすいのは、ラルフが劇中で正体不明のネットスターになるくだりだ。

今年の日本アニメでは『SSSS.GRIDMAN』、映画では『スパイダーマン:スパイダーバース』も、この範囲に入る。この二作も、グリッドマンやスパイダーマンのシリーズをよく知っているほど、隠しネタがたくさん見つかり、楽しみも増える。先ほど『レディ・プレイヤー1』について述べたように、その楽しさは物語そのものではなく、そこから外へ広がるおまけのネタにある。ネット上の交流を通じて、同好の士と熱狂的に盛り上がることさえできる。これがサブカルチャーのお祭り騒ぎだ。今年1月、『ポプテピピック』がネットに巻き起こした熱狂もここから生まれた。だからこそ、先に挙げた二つのネット流行語ランキングにも名を連ねたのだ。

『SSSS.GRIDMAN』のキービジュアル

3. 女性の作り手と女性の視点

今年は、日本の女性アニメ制作者が大いに輝いた一年だったと思う。それまでの数年間に男性の作り手が手がけたアニメと比べると、今年は明らかに女性の視点から描かれる物語が増えている。その中から一作を選ぶなら、岡田麿里の初監督作——

『さよならの朝に約束の花をかざろう』

『さよならの朝に約束の花をかざろう』のポスター

岡田麿里が、かなり賛否の分かれる作り手であることは否定しない。だが、業界の女傑といえば、私が真っ先に思い浮かべるのは間違いなく彼女だ。

日本のアニメ業界では、監督は基本的に演出で頭角を現してきた人たちだ。一般的には原画から演出へ、そして監督へと進む。そのほかに制作進行や美術関係の出身者もいるが、脚本から監督になる例は本当に珍しい。実写映画ではよくあることなのだが。それでも、彼女が監督になれた理由は、考えてみればちゃんとある。

  • (1)仕事ができる。 作品の評価は両極端に分かれるものの、基本的にはきちんと仕事をやり遂げる。(岡媽——「岡田ママ」という意味の中国語圏での愛称だ——も、ネットで自分に向けられた酷評は間違いなく読んでいる。詳しくは、後で挙げる、本人が脚本を書いた自伝ドラマを見てほしい。)
  • (2)コントロール欲が強い。 作品を自分の思いどおりにしたいという欲求が、彼女にはきわめて強い。例はいくらでもある。『true tears』では監督の西村純二と衝突し、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』でも、中心スタッフである監督の長井龍雪、キャラクターデザインの田中将賀という二人と、チームが解散しかけるほど言い争った。というより、そもそも監督になった理由の一つは、脚本では作品のすべてをコントロールできないが、監督ならできると考えたことなのだろう。私自身も、作品をコントロールしたがる作り手こそ面白いと思う。創作とは表現であり、創作を自分でコントロールすることは、自分の表現を守ることにつながる。そして岡媽は、言葉の力を信じる人でもある。彼女の物語の多くが、そのことを示している。
  • (3)人脈が広く、人にも好かれる。 『さよならの朝に約束の花をかざろう』のスタッフ表を見ると、業界のそうそうたる面々が力を貸していることがわかる。業界で十数年やってきた彼女自身の人脈に加え、その才能を見いだしたP.A.WORKS社長の堀川憲司が呼んだ人たちもいる。堀川の信頼を得て、同社の脚本家である小柳啓伍の指導まで任されているのだから、どれだけ人に慕われているかわかるだろう。さらに今年は、オリジナルアニメ『ひそねとまそたん』も手がけた。総監督は、アニメ会社GAINAX出身で、今や特撮映画界の大黒柱である樋口真嗣。そう、この組み合わせを最初に見たときは、私も呆然とした。いったいどうやってつながったんだ! インタビューを読んでも、制作会社ボンズの社長、南雅彦が岡媽に寄せる信頼がうかがえる。この人望、すごすぎる……。人脈と人望。アニメ業界に限らず、多くの会社勤めの社畜にとっても、ぜひとも欲しいものだ。

『ひそねとまそたん』のキービジュアル

こうしたこともあってか、岡媽は昨年から実写の世界にも再び乗り出している。デビュー当時のように低予算のピンク映画(香港の成人向け「三級片」に近い)ではなく、今度はもっとメインストリームの作品を手がけている。たとえば、生田斗真と広瀬すずが出演する『先生!、、、好きになってもいいですか?』や、千眼美子さん主演の『暗黒女子』。今年は自身の半生を描いたドラマ『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』があり、来年は実写版『惡の華』で、カルト映画畑の井口昇監督と組む。岡媽がやってきた仕事を数えてみよう。ピンク映画を書き、ギャルゲーを書き、アニメを書き、アニメを監督し、メインストリームの実写映画やドラマを書き、自伝を出し、漫画原作も手がけた。原作を担当した漫画『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のアニメは、来年4月クールの放送が決まっている……すごすぎる……。

『さよならの朝に約束の花をかざろう』の女性の視点については、以前の回答でこう書いた。

母親は必ずしも家庭にとどまる必要はなく、ずっと旅を続けていてもよい。岡田はそう考えている。もう一人のヒロイン、レイリアが担うのは、その考えを示す役割だ……。これは岡田自身の女性観でもあると思う。母親は必ずしも家庭に縛られる必要はない。母親である前に、女性はその人自身であり、一人の独立した個人なのだ。

今年、大いに輝いたのは岡媽だけではない。『リズと青い鳥』を監督した山田尚子もいる。なぜ彼女を選ばなかったのか。個人的には、岡媽の例のほうが特殊で、今年の新しい動きをよく代表していると思ったからだ。『リズと青い鳥』もまた、女性にしか撮れないアニメである。観客は、作中のフグのようなものだ。フグが向き合う四角い水槽の一面は、観客が向き合うスクリーンや画面に似ている。私たち観客は、この作品の世界に飼われたフグのように、舞台を下から見上げる位置に置かれている。目の前の空気がいつまでも止まっていてほしい。目に映るすべてが、誰にも侵されませんように——これが、山田尚子の作り出す箱庭の世界だ。のぞき見る視線で彼女たちを侵し、薄膜を突き破ることは許されない。ただ、そっと見守ることしかできない。

『リズと青い鳥』のポスター

そして、京都アニメーションから巣立った女性の作り手、内海紘子(テレビ版『Free!』二作の監督)も今年、京アニ以外の会社で制作する初のアニメ、『BANANA FISH』を送り出した。原作は少女漫画で、作者は今年デビュー40周年を迎えた少女漫画家の吉田秋生。原作からアニメまで、女性の作り手による作品だと言える。吉田秋生の作品で中国で最もよく知られているのは、おそらく是枝裕和によって映画化(いや、魔改造)された『海街diary』だろう。この漫画も今年、無事に完結した。中国語版の刊行も実現し、中国本土で初めて正規刊行された吉田秋生作品となった。

『BANANA FISH』の特集告知ビジュアル

『BANANA FISH』については、原作漫画のほうをすすめたい。漫画の舞台はベトナム戦争後だが、アニメではイラク戦争後に変えられた。内海紘子は、こうした改変によって何が問題になるのか、明らかにわかっていない。物語には性犯罪が横行し、マフィアが政権を操り、街には不良少年たちがいる。この最後の点は、おそらく『AKIRA』の影響だろう。いずれもベトナム戦争後、さらには青年運動を経て初めて現れたアメリカの光景であり、今のアメリカ社会とは明らかに相容れない。時代設定を変えた理由は、少し考えればわかる。今の好みに迎合するためだ。裏を返せば、彼女は今の女の子たちが何を好きなのかはわかっている。キャラクターの衣装にも専任のデザイナーを置き、おしゃれ、おしゃれ、とことんおしゃれにしている。ショーターには、原作で頭を丸めるくだりがあったが、アニメでは髪を残してもらえた。モヒカンがこのキャラクターのトレードマークだから、というのが理由だそうだ。

もう一人、12月になってようやく姿を現した女性の作り手がいる。『血界戦線』第1期の監督、松本理恵だ。ロッテの創業70周年を記念する広告MV、『ベイビーアイラブユーだぜ』を監督した。

ロッテ創業70周年記念『ベイビーアイラブユーだぜ』のビジュアル

ただ、『血界戦線』以来、二年沈黙していた彼女には、まだこの先の動きがあると思う。このMVのスタッフ表を見てみよう。

主題歌:BUMP OF CHICKEN「新世界」
監督:松本理恵
企画・プロデュース:川村元気
キャラクターデザイン:林祐己
アニメーション制作:ボンズ

そう、川村元気とは何者か。映画会社・東宝のエースプロデューサーだ。東宝の夏映画を専門に担当している。『バケモノの子』『君の名は。』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『未来のミライ』『天気の子』(新海誠の来年の新作)。彼については、「新海誠の新作『天気の子』をどう思う?」という問いへの回答で紹介した。

そして、彼が松本理恵に声をかけたのは、実は二年前、『君の名は。』が大ヒットしていたときだった。

松本理恵と東宝の企画を予想した、著者の2016年12月の微博投稿
著者の2016年12月6日の微博投稿。引用した自身の投稿では、京アニと東宝の提携に続く大きなニュースに触れ、川村元気がインタビューで新海誠のほかに30代の天才女性アニメ監督にも会ったと話していたことから、山田尚子が東宝のアニメ映画を撮るのではないかと予想していた。ここではさらに、話題をさらった『血界戦線』の松本理恵の可能性もある、と付け加えている。

そう、二年前の私の予想、当たった。

予 想 が 当 た っ た 。

ちょっと自慢させてほしい。これで一年は自慢できる。松本理恵と東宝は、もっと大きな企画も送り出してくれると、私はまだ信じている。

4. 海外資本のもとでのネット配信と「ルネサンス」

このテーマは、実際には三つに分かれる。海外資本、ネット配信、ルネサンス。その三つに当てはまる今年の代表作は、湯浅政明監督、永井豪原作の——

『DEVILMAN crybaby』

『DEVILMAN crybaby』のキービジュアル

そう、以前、2017年を代表するアニメを三作選んだときにも、頼れる資金の出し手、Netflixパパをはじめとする海外勢のネット配信アニメには言及した。ただ、Netflixが本格的に力を発揮し始めたのは今年だ。そこで、その代表作としてこれを選んだ。

ネット配信が作り手にもたらす利点と欠点は、さまざまなニュースで目にするだろう。ただ、私たち視聴者にとっては、全話一挙配信がこれまでのアニメを見る習慣を変えるかもしれない。私も『DEVILMAN crybaby』は一晩で見終えてしまった。

Netflixのアニメには例外もある。今年1月の大人気作、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』だ。北米を除けば、ほかのNetflixアニメのように全話を一度に配信するのではなく、週に一話ずつ更新された。Netflixでは非常に珍しい配信の仕方だ。生粋のNetflix作品ではないからかもしれない。北米では、放送が終わるまで待ってから全話がまとめて配信される。同じNetflix配信作でも、テレビ版『リトルウィッチアカデミア』は、放送が終わってからNetflixに登場した。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の放送・Netflix配信告知

私の記憶では、Netflixと深い関わりを持った最初のアニメは、P.A.WORKSの15周年記念作品『クロムクロ』(2016年)だった。今ではこうした海外の配信サービスと関わる制作のあり方も次第に成熟してきており、2019年にはNetflixパパを筆頭に、海外の配信サービスからさらに多くの新作が登場するだろう。

関連する新しい動きとしては、日本のフジテレビが今年、「+Ultra」というアニメ枠を新設した。目的は、日本アニメを海外へ広めることだ。それ以前にはノイタミナ枠(中国語圏での通称は「倒A」)があり、こちらはこれまでとは違うアニメを作ることを目指していた。代表作には『ハチミツとクローバー』『あの花』などがある。新たな枠はネット配信サービスと組んでおり、その第1作がARスマートフォンゲームを原作とする『INGRESS THE ANIMATION』だ。テレビで第1話を放送した翌日に、ネットでは全話を配信する。ネットで話題を作り、その人気で今度はテレビにも視聴者を呼び込む仕組みである。

監督の櫻木優平は、短編アニメ企画「日本アニメ(ーター)見本市」で頭角を現したCGアニメ監督だ。ジブリ美術館で上映される短編『毛虫のボロ』で宮崎駿と組み、宮崎にさんざんしごかれていた。彼もまた期待したい新鋭監督の一人で、来年1月には新作の劇場版アニメ『あした世界が終わるとしても』が公開される。

『INGRESS THE ANIMATION』のキービジュアル
『INGRESS THE ANIMATION』。

海外資本とネット配信の話が済んだところで、今度は旧作がよみがえる「ルネサンス」へ。これ自体は今や珍しいことではない。ただ、今年は「四つの50年」が重なったのが珍しい。

  • 一つ目の50年は、永井豪の漫画家デビュー50周年。 そのため今年は『DEVILMAN crybaby』だけでなく、『Cutie Honey Universe』『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』も、彼の作品を原作として作られた。
  • 二つ目の50年は、漫画『ルパン三世』の連載50周年。 今年放送されたテレビアニメ『ルパン三世 PART5』に加え、原作者のモンキー・パンチが総監督を務める記念OVA、『ルパンは今も燃えているか?』もある。
  • 三つ目の50年は、漫画『あしたのジョー』の誕生50周年。 『あしたのジョー』をもとにした『メガロボクス』がbilibiliであれほど人気を集めたのには、私もかなり驚いた。この作品の映像は、わざわざDVDと同じ480Pの標準画質で制作されている。そのため、オープニングとエンディングのクレジットだけが高精細なのがわかる。そこだけ高精細なのも、私には微妙なのだが。さらに、撮影(合成などの後処理)の段階で、線にかすれを加え、途切れそうで途切れない、手描きの鉛筆線に似せている。これもセルアニメの質感を再現するためだ。こうした線の表現を使うアニメは、実は最近かなり多い。『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』もその一つ。この流行からは、業界にも昔を懐かしむ気持ちがあることがうかがえる。
  • 四つ目の50年は、漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』の創刊50周年。 今年は『ジャンプ』作品のさまざまなイベントが開かれているのを実感できただろう。NHKもこれに合わせてドキュメンタリーを制作しているので、ぜひ見てほしい。

海外資本によるネット配信と、旧作をよみがえらせる動き。この二つが結びつくことには意味がある。今、多くの製作委員会が二の足を踏むような種類のアニメに、あえて挑めるのは海外の配信勢だけなのかもしれない。そして、古い作品をもう一度掘り起こして手を加え、新たな輝きを与えることもできるのだ。

以上が、私の選んだ2018年を代表するアニメ四作だ。まとめておこう。

  1. 社会現象:『名探偵コナン ゼロの執行人』
  2. meme:『ポプテピピック』
  3. 女性の作り手と女性の視点:『さよならの朝に約束の花をかざろう』
  4. 海外資本のもとでのネット配信とルネサンス:『DEVILMAN crybaby』

中国語版の編集者より

まあ、2018年の日本アニメをどう捉えるか、その座標系は人それぞれだ。この記事も、そんな視差からの眺めを一つ示してくれた。中国語版の見出しで「meme」の後に「梗」(ネタ)という括弧書きを加えたのは私だ。馬小褂さんが2014年に示した先見性のある考えに、私も賛成している。中国語の訳語としては「模因」のほうが改まっているが、日常的に使うなら、そこまで学術めいた言葉にしなくてもいい。馬小褂さんが述べたように、Internet meme(インターネット・ミーム)という言葉の意味は、しばしば文化の伝播や変化を扱うミーム学の範囲を超えているのだから。

本文終わり

特記のない限り、当サイトのコンテンツは CC BY-NC-SA 4.0 で提供します。ライセンスに沿った転載を歓迎します。もし皆さまのブルジョア法権を侵害していたら、ご一報ください。管理人に、ただちに記事を消してずらかる「遊士の倫理」を実践せよ、と釘を刺していただければ幸いです。

SEARCH / サイト内検索

屋頂現視研を検索

よく使われるタグ

08
#女性主义76#精神分析38#动画制作36#动画评论34#性别研究32#拉康26#世界系25#动画演出22

本文の検索結果

—

語句を入力すると、公開中の記事と連載章を検索します。