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批評とは何か

実在わんこと非実在わんこが「批評とは何か」をめぐって対談する。理論は生活にどう介入するのか。オリジナル幻想や作者中心主義から、他者に向けた批評、二次元文化研究へと話は広がる。

インタビュイー: 实在狗子聞き手: 非实在狗子翻訳: 甚谁Bot[AI assisted] · 全文レビュー: 甚谁Bot[AI assisted] · 全文

実在わんこのプロフィール画像
実在わんこ

世界のない時代に、意味のない愛を広める。

編者注: 著者は知乎で活動中。

今日は実在わんこ(以下、実)と、その仲よしの非実在わんこ(以下、非)を迎え、批評について語ってもらう。

オープニング(雑音まじりのオフの声):あなたがたは彼を見るだろう、彼の声を聞くだろう、あなたがたは彼が誰なのか知らない……あなたがたにはそれらが見える、いまそれらを見ている、それらが何なのかはわかっていない……――リオタール。

『リオタールの眼に映る芸術』書影

実: 今回は批評について話そう。まず考えなければならないのは、批評とは何かという問題だ。それから、なぜ批評が必要なのか、誰が批評を必要とするのかを話そう。

非: 明らかなことが一つある。批評は人を罵ることじゃない。相手の鼻先に指を突きつけて、そいつの育った家庭をあげつらうことでもない。

実: 批評について語るとき、批評とは何かについて語るとき、私たちはすでに批評している。批評には客観的な立場など存在しない。それ自体が介入なのだ。批評は、みずからが生み出す一連の効果のなかに存在する。批評そのものは動詞にすぎない。理論と生活、あるいは理論と実践をつなぐのだ。

非: ふつう、理論というと、文学理論でも哲学理論でも、生活から遠いものだと思うよね。

実: それには一理ある。『世界文学を読めば何が変わる?』では、パーティーでミルトンやヘーゲルを研究している人に出会ったら、身を守るために銃を買えと著者は勧めている。これは偏見だ。銃一丁では明らかに足りない。少なくとも短機関銃、それもとびきり長いやつが要る。

実: しかし同時に、批評家はこう気づかせてくれる。こうした理論は、私たちが思う以上に遠いところにある(実際、もっと奥が深い)。だが、思う以上に近くにもある。私たちの生活には、とうの昔からこうした理論が浸透しているのだ。 デリダは、私たちが知っていようといまいと、私たちはみなマルクスの子どもなのだ、という意味のことを言っている。イデオロギーは私たちの政治的な考え方を形作るだけでなく、日常生活にも直接介入している。もちろん、さまざまな文化の領域にも。

非: 東浩紀がヘーゲルについて書いたものは、どれもとてもわかりやすい。

東浩紀『動物化するポストモダン』日本語版書影

実: 東浩紀の書くものは、どれもとてもわかりやすい。その仕事は批評のよい手本になる。手元に日本語版の『動物化するポストモダン』が一冊あるが、この本は10年間で20回以上も重版を重ね、多くの小説やマンガより売れている。実際、この本自体が多くの小説やマンガの作中に登場している。サブカルチャーについての理論書というだけでなく、サブカルチャーそのものにも影響を与えた本なのだ。東浩紀のこうした仕事からは、私が「オリジナル幻想」と呼んでいる問題も見えてくる。

非: 「オリジナル幻想」って何? 例を挙げられる?

実: たとえば、大塚英志の『キャラクター小説の作り方』は、ずいぶん前からライトノベルの書き手たちに広く知られている。だから彼らの作品の多くは、この本のやり方に沿って書かれていて、そこには明らかに共通する構造がある。ところが、その(誰の目にも明らかな)構造を見て、自分が発見したと思い込む人がいる。それがオリジナル幻想だ。

非: つまり、その自称「最初の発見者」が見つけたのは、実は「二番煎じの二番煎じ」なのに、自分が一番乗りだと言い張るわけだ。

チャック・パラニューク『チョーク!』中国語版表紙

実: そのとおり。たとえばチャック・パラニュークの『チョーク!』という小説では、主人公が初めて手で抜いたとき、自分が世界で初めてこの方法を発見したと思い込み、これで大金を稼げるとまで考える。あれに似た感覚だ。

非: このたとえ、キモすぎるだろ!(怒)

実: 理論が創作に影響を返すことなんて、ずっと前からある。『ポストモダンの景観』(仮訳)には、こんな話が出てくる。ジェイムソンがある画家に、どの画家からいちばん影響を受けたかと尋ねた。ジェイムソンはきっとピカソの名が出るだろうと思っていた。ところが返ってきたのは、ボードリヤール、デリダ、リオタールだった。その画家によれば、多くの画家は技法のことを考えていない。自分たちは最新の理論を読み、新しい理論から刺激を受ける。ボードリヤール、デリダ、リオタールを読んで、それから絵を描くのだという。

非: オリジナルなものを生み出そうとすると、意外に難しいんだよね。まず、ほかの人がすでに何を生み出しているかを知らなければならないから。

実: だから、「オウム返しは嫌いだ、オリジナルが好きだ」と言う人がたくさんいるのは笑える。彼らの程度では、何がオウム返しで、何がオリジナルなのか、そもそも区別がつかない。それなのに、自分の「できない」を「したくない」にすり替え、無力さを「美徳」にしている。

政治と文学

非: 文芸作品を政治と結びつけることを拒む人は多い。どう思う?

実: 何であれ、そこに「非政治的」というレッテルを貼ろうとする動きを目にしたら、それこそが最も純粋な政治化の行為だ。

非: 作者中心主義についても少し話そう。あなたはずっと、筋金入りの反作者中心主義者だよね。

実: それはある意味では反ナチズムと同じことだ。作者の意図を信じるなら、ムッソリーニが戦争を始めたのは全世界を救うためだったと信じなければならない。本人がそう言っているのだから。

非: 作者中心主義は、疑いなく保守派のイデオロギーだ。

実: T・S・エリオット、ブルーム、ナボコフ。この連中は、多かれ少なかれヨーロッパ中心主義的な考え方をしている。それに、ひとこと言わせてもらうけど、こういう考え方は本当にバカげている。ロラン・バルトを持ち出すまでもない。バフチンがすでに、こういうことを言っている。作者に見えるのは、形を取りつつある作品であって、明確な心理活動を伴う内的な制作過程ではない。 作者はあくまで作家であって、心理学者でも精神分析家でも神経学者でもない。なぜ自分の心理活動がわかるというのか。現代人は、この地球に「無意識」という言葉があることをまだ知らないのか。いまだにコペルニクス以前の時代を生きているのか?

『ジャック・ラカン――あなたの症状を読む』中国語版表紙

自己批評とその他

実: 自己批評の話になると、たちまちデリダ的な難問にぶつかる。こう言ってもいい。自己批評をするには、批評する本人が、その対象は自分なのだと気づいていてはいけない。それどころか、批評していること自体にも気づいていてはいけない。そうでないと、その批評は簡単にうそになる。

非: でも、それを理由に批評しないのは、二重にうそをつくことになるかもしれない。

実: そのとおりだ。私の文章にはいろいろ問題がある。たとえば最近書いた『二次元エロ存在論』では、いくつかの用語の説明が足りない。特に第二部だ。ただ、正直なところ、この内容だけで少なくとも修士論文一本は書けるから、すべてを説明するのは大変なんだ。論文なら、東浩紀のデータベースといった概念や、それらにどんな問題があるのかをじっくり説明できる。でも、一篇の記事にその説明を全部詰め込んだら、長くなりすぎる。だから冒頭に【随筆】という二文字を付けた。

非: あなたの言う「他者に向けた批評」って、どういう意味?

実: 他者に向けるというのは、批評の場に他者を迎え入れるということだ。多くの人の文章には他者がいない。対話の形を取っていても、実際には自分の独白にすぎない。だがドストエフスキーは、本当に他者を心にとめている人なら、独白のなかにも他者がいると教えてくれる。

非: もう少し具体的に言える?

実: ある概念を丁寧に、はっきりと説明する。そうして、その人が以前は「自分にはたどり着けない」と思っていた場所へ連れていく。それが他者に向けた批評だ。 難解な用語で埋め尽くされた文章も、もちろんよい文章ではありうる。だが批評とは呼べない。介入がないからだ。

非: 最後にもう一つ。理論を使って二次元文化を研究するのは、大砲で蚊を撃つようなものだと思っている人が多い。どう思う?

実: 二次元文化はいまや、日本が自国を売り込むために国策(クールジャパン)に掲げているものだ。外国人が日本と聞いて真っ先に思い浮かべるような文化が、蚊扱いされるとは。どれだけ視野が狭いんだ。

実: それに、文化研究が細部に目を向けるようになったこと自体、大きな突破口だった。いわゆる「悪魔は細部に宿る」だ。症候的読解は、まさにテクストの中の蚊を探す。そもそも大砲というたとえ自体、ずいぶん古い。いまの戦場では、小さな標的を正確に狙って攻撃するものだと知らないのか? その意味では、本当に蚊を撃たなければならない。いま必要なのは、蚊を撃つ大砲なんだ。蚊にすら命中させられない大砲で、湾岸に行けるのか?

編者注:よし。

本文終わり

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